外国為替を知る

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外国為替を知る

海外旅行に行く時、その国やパスポートをチェックする他にお金のことも考える必要があります。それは外国では基本的に日本の円は使えないからです。円は銀行で旅行先の国の通貨(アメリカならドル, フランスならユーロ)に替えることができます。こうした異なった通貨を交換することを外国為替と呼びます。この時に適用される交換比率が外国為替相場です。ニュースで「1ドル○○円○○銭」と言われている、あのことです。例えば銀行で円をドルに替えることもそのひとつです。ただテレビのニュースで聞く、あの外国為替レートはインターバンク市場(金融機関同士の取引)での相場です。それでは金融機関はどこで取引しているのでしょうか?東京証券取引所のような建物や、魚市場や青果市場のような決まった場所はありません。外国為替は金融機関同士の間で電話やコンピューター端末で毎日取引されています。それらの取引全部を総称して外国為替市場といいます。もちろん日本だけでなく、世界各国で取引されており、特に東京・ロンドン・ニューヨークが世界の3大外国為替市場と呼ばれています。為替の取引時間には定時の始まりと終わりはありません。外国為替取引は決まった取引所はないので、市場を開ける・閉めるという考え自体ないのです。日本時間で16時~17時になると、日本国内での取引は少なくなりますが、そのころ朝を迎えたロンドン市場での取引が始まり、さらに22時頃にはニューヨーク市場の取引が活発になります。ニューヨーク市場が現地17時になる頃に日本は朝になり、取引は東京へ移って行きます。つまり外国為替は24時間取引されているのです。こうしてみても為替の動向は私たちの生活に密接に関係します。例えば輸入ブランド品を購入する時、円高はそれらの商品の価格を引き下げるので、私たちには好都合です。逆に円安はそれらの価格を引き上げることになります。このような為替の動きは毎日行われる外国為替取引(インターバンク取引)によって形成されています。このレートはテレビや新聞で報道されてなにか遠い存在のような気がしますが、実は身近な問題なのです。また、日本は多くの商品を輸出しています。そしてそのほとんどは米ドル決済で行われています。そのため円安ドル高になれば輸出企業の利益が大きくなり(つまり120円の商品を1ドルで輸出していたとして、1ドル130円になったとき、輸出企業は以前よりも10円儲かります)、そこで働く従業員の給料も増え、生活も潤います。増えた給料で国内の商品を買えば、その商品を製造している会社の利益にもつながり、従業員の給料が増えます。これが繰り返されて日本全体の景気浮揚につながっていきます。円高はその逆です。輸出で稼ぐ利益が減り、それによって日本国内の企業収益が悪くなり、従業員の給料も下がり、消費も減り、これらが繰り返され日本全体の景気が悪くなります。しかし、一方で消費者や輸入業者の観点からすれば、円安は輸入物価を上昇させることになり不都合ですし、反対に円高は輸入物価を下落させるので好都合です。円安も円高も、結局は良し悪しなのです。しかし輸出立国である日本にとっては、円安の方が日本全体の景気を押し上げる力に繋がる可能性があるといえるでしょう。このようなメリットもある円安を故意に長期に渡って誘導することはできません。自国通貨を安くし、輸出で景気を回復させる方法は「不況の輸出」と呼ばれ、諸外国から批判を浴び、円滑な国際関係に支障が出る可能性があります。また変動相場制のもとでは、一時的な介入や高官発言等で為替を誘導できたとしても、長期に渡ってこれを恣意的にコントロールすることは不可能と考えてよいでしょう。この様に外国為替相場は私たちの生活に大きく影響してくるのです。そもそも何故外国為替は変動するのか?市場があるものの値段は、すべてそこで取引される需要と供給の需給関係によって決まります。これは株でも、債券でも、不動産でも同じです。円とドルの関係で考えるならば、ドルの値段はドルを円に対して売る人がたくさんいればドルの値段は下がりますし、買う人がたくさんいればドルの値段はあがります。売りたい人、買いたい人の需給でその時の値段が決まります。為替の直物レートの場合、売りと買いの間は、数ポイントの差があります。Bidに105.20とあり、Offerに105.40とあるとすれば、買いたい人は105.40であれば買えますし、売りたい人は105.20であれば売れます。このようにBidとAskの値段の開きをスプレッドをいいます。このスプレッドがどのくらいあるかは、その市場を立てているところによって異なります。また流動性が少ない場合には、このスプレッドが大きくなります。利益を取ろうと思えば、その分スプレッドが小さい方が有利ですが、一般的な話をすると、商い量が多い通貨同士の方がスプレッドは小さくなります。スプレッドの幅は取引を行う際に、コストとして自分の損益にも関わって来るので業者の提示するスプレッド幅を比較してみる必要があります。毎日200兆円の資金が外国為替市場で動いているわけですが、この取引のうち実需によるものは全体の1割~2割ほどとも、ほんの3~5%ともと言われています。実需とは実際の輸出入に関わる資金決済や債券や株式などの売買のためにその通貨に変換するなど経済的な取引の裏付けがある取引になります。これに対して投機は実需以外で為替差益を目的に行う取引のことをいいます。実需資金と投機資金では相場に与える影響も変わって来ます。実需資金の場合は、ある値段で売買された後、市場にその資金は戻って来ません。しかしながら投機資金の場合は、必ず最初の売買に対してそれをクローズするための売買を伴います。クローズするための売買は、その投機主体がどのような投資戦略を持っているかによっても期間は異なりますが、投機資金の大半は長くても2ヶ月くらいのもので、通常は1~3日以内にクローズされます。「投機」という言葉に対して、日本ではあまりいい印象を持たれていないと話ましたが、外国為替取引がもしも実需だけでしか成り立っていないとしたら、大変な事になってしまいます。例えば円とドルを考えてみましょう。ある自動車メーカーがアメリカにたくさん自動車輸出したとします。購買者はアメリカ人ですから最終的には米ドルで販売されます。売上が年間仮に80億ドルだったします。製造に関わった従業員の給与をはじめ取引先企業には円で支払わなければなりませんが、8400億円相当の金額を、もしも決算に合わせるように年度末だけで円に換えたらどうなるでしょう。実需でそれに相当する額のドルの買いが市場には半分しかなく、決算に合わせてドルが売られて安くなるのがわかっていればかなり下の安いところにしかbidの買いは入らないでしょう。このドル売りだけでドルの値段が一気に半分になってしまっても不思議ではありません。実需を支える大量の投機資金が存在するので、値段は極端な乱高下を起こしたり、商い量がなくて決済できないというような事態を回避することができるのです。いずれにしても投機資金と実需資金は性格が違うので、市場に与える影響も変わって来ますが、ほとんどがすぐに反対売買される投機資金であるということを前提に取引を行う必要があります。またこの投機資金に影響をおよぼすような情報をどう見ていくかが重要なポイントになります。外国為替で儲けるにあたり、先ず最初に、人類史上「お金」という発明ほど人類を進歩させたものはないかもしれません。「お金」は物々交換では果たせなかった空間や時間を越えたモノの移動を可能にし、人類の活動を大幅に飛躍させました。「お金」が生まれる以前は、モノとモノを交換するしかなかったわけですから、保存がきく、きかないに始まり、重いかどうかなど、価値を図る物差しを何にするのかで、さぞや揉めることも沢山あったでしょう。とても苦労していたに違いありません。しかし私達の祖先が「お金」を発明をした事で、「経済」としてひとつの活動となり、さまざまな歴史の英知を飲み込みながら地域や時間を越えて、「経済」は進化の一途を歩んで来ました。20世紀に世界は共産主義、資本主義というイデオロギー対立によって経済的にも分断されましたが、結局その対立を超えて21世紀、世界は「経済」という意味では、今までの人類史上なかったほど、その結びつきを強めています。今やあらゆるものが世界中を行き来しながら、日々の暮らし、とりわけOECD各国に住む私たちの生活を成り立たせています。それを裏で支えているのが、まさに「お金」=「通貨」です。そして価値を図る物差しとしての「お金」=「通貨」がなければ、今のグローバル経済など成り立ちえません。ではこの「通貨」は誰が管理するのでしょう。「通貨」を作って(=発行して)、それに信用を与えるのは国家です。1999年、一国だけでなく加盟する国家の集まりが運営する共通通貨「ユーロ」が誕生するまで、通貨は国家単位によるものでした。この通貨のやりとりが「外国為替取引」であり、この外国為替取引を通して世界経済は動いています。いつでも円をドルに、ドルをユーロに交換できるのだとういうことを保証するのが、市場の流動性というものです。ではこの国が認める通貨同士を交換する時、すなわち外国為替取引の際に決められる交換値段(=価値)について少し考えてみましょう。「本日の円相場は、1ドル105円で商いされています。」というニュースの声が聞こえて来ました。あなたはどんなことを考えますか?最近では海外に行くというのも当たり前の時代ですから、特に意識しなくても1ドルを交換してもらうのに、105円必要なんだというような事はすぐに頭に浮かぶでしょう。理論的にはあなたがもしアメリカにいて、自分のお財布に105円持っていれば、1ドルのハンバーガーを買えるという計算が成り立ちます。しかし実際にはアメリカで100円玉と5円玉のふたつでハンバーガーを買おうとしても、奇特な人以外ほとんど受け取ってくれないでしょう。なぜならこのハンバーガーを売っているアメリカ人は、お客さんが払ったお金を使ってまたハンバーガー用のお肉の仕入れるか、お給料としてもらったあとお腹が空いたら近くでピザを買うかでしょうから、その仕入先や他のお店で受け取ってもらえないお金でもらっても何の価値もない事になります。「通貨」は値段がついているだけでは意味がなくて、ちゃんと交換することができるから意味があるのです。また先ほどと同じニュースを聞いても、ちょっと興味がある人ならば、「ほんの1週間前までは110円だったのに」と思うかもしれません。1週間前まで110円だったものが今は105円なのですから、USドルで値段のついている同じものを、今ならば5円も少ない、パーセンテージで表せば4.5%も少ない日本円で手に入れることができるということになります。為替で儲けるということは、「この変わる値段と値段の間を取る」ということです。 「値段と値段の間」というと、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、同じ10USドルと表示されているきれいなマグカップ1個を1USドルが110円の時に買うよりは、105円になるのを待ってから買えば、50円安く買えるということです。この50円安く買うことで50円お金を残す(=稼ぐ)ことを、まずは為替で儲ける基本だと思って下さい。では一体円ドル相場が110円から105円になるということはどういうことなのでしょうか。「なぜ為替が動くのか」について詳しいことは後程述べますので、ここではまず大きなイメージだけをつかんでください。そもそも物理的には全く同じ1枚の硬貨の値段が変わるためには、何かその値段(=価値)を変える要素があるはずです。先ほど「通貨」は交換できるから意味があると言いましたが、そもそも交換してもらえるためには信用がないといけません。まずその大前提として、その通貨の信頼性が値段を決める根本となります。そしてその値段を決めるための基準があると大変便利です。「重さ」を例にします。各地域がお互いに交流が少なく文化的にも閉鎖的な状態であった時代の世界には、独自のさまざまな重さを計る基準がありました。もしあなたがモスクの脇で売られている火を噴く魔法の水が欲しくて、それが入った桶ひとつが重さ1バレルだと言われました。自分の船の重量制限があと4升しかないとは知っていても、比べる基準がなければ困るでしょう。しかしリットルでもブッシュルでも、基準になるリットルに対して1バレルが何リットルで、一升が何リットルになるかを知っていれば、重い樽を抱えて船に載せてから船が沈むかどうかで確かめる必要もなくなります。外国為替にも基準となる通貨があります。米ドルです。この基準としてのアメリカドルに対していくらの値段になるかという計算が外国為替取引レートの基本です。ですからこのアメリカドルに対して、ある通貨がどれだけ相対的に信用されているかということで値段の基本が決まります。例えばGDPで世界第三位という経済力を背景にした日本円と、国の債務を払うこともままならず、特に成長しそうな産業もないココナッツ国という国のヤッシーという通貨があったとします。ふたつの通貨のうち経済力のある日本円の信用度の方が高いので、1ドルに対する価値は、ココナッツヤッシーと日本円であれば、当然日本円の方が高いということになります。でもそのココナッツ国に、新たに大規模な油田が発見されたとします。急速に豊かになる可能性が高まるうえに、ココナッツ国では外貨を獲得する手段ができるわけですから、将来的な信用が高まるという理由で、ココナッツヤッシーのドルに対しての値段は上がります。経済的、政治的な力がついてくるということはその通貨が強くなるということを意味します。近年中国の人民元切り上げの話題がよく出てきますが、これは経済的、政治的に力が強くなってきているにも関わらず人民元が安いという指摘があるためです。ユーロは設立当初たいへん安くて市場を悩ませました。「金や銀は単品であるから価値があるのであって、混ぜて売ることに意味が無い」という理屈が通って、パリティ(1ユーロ=1米ドル)を下回ることすらありました。しかし最近では見直しがなされ、各国中央銀行による外貨準備にも積まれるようになり、今度はユーロが高すぎて困るという次第です。こういう大きな経済や政治の環境が変動する結果が通貨の値段に織り込まれ、日々私達が売ったり買ったりするモノの値段に反映されています。実は毎日のように私達は通貨の値段に関わって生きていると言っても過言ではありません。反対の見方を変えれば、外国為替を動かす情報はとても日常的なもので、どこでもいつでも取れますし、ありふれた身近なニュースからも取ることはできます。外国為替で儲けるということは、「ある通貨の値段と値段の間を取る」ということで、すなわちそれは、「毎日流れるさまざま情報によって変化する通貨の動きを取る」ということです。外国為替が日々動いているということはすでにおわかりと思いますので、あとはこの動いている通貨の価値をどうやって取るかということです。取り方はいろいろあります。

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